インド占星術 ジョーティッシュ。ナクシャトラベースでセレブリティーの誕生ホロスコープをチャート分析をするシリーズ。
実際のホロスコープのチャート分析を通じて、チャートの見方などをご覧いただければと思います。
※2024年4月21日よりスタートする「インド占星術、ジョーティッシュを学ぼう ナクシャトラ・マインドマッピング 第4期」で、ナクシャトラをベースとしたチャートの細かい見方などはお伝えいたします。
George Michael
60年代モータウン・ミュージックや70年代ソウルやディスコなどに影響を受け、ただの真似に留まらず優れた歌唱力、曲作り、そして甘いソウルフルな歌声で自らのサウンドに昇華させた世界的なアーティスト George Michael。80年代はWham のメインヴォーカルとしてポップ寄りの音楽で人気を博したものの、その後ソロアーティストとして確実に彼の音楽性の高さは世界で認められスーパースターの地位を築き上げた。これまでのレコード・CDの売り上げは1億2千5百万枚にのぼる。
誰もが知っているジョージ・マイケルのあの歌声と個性、そしてメガスターとしての資質は恒星占星術27星群ナクシャトラのどんな力が関係しているのでしょうか。探ってみます。
正統派プナルヴァスのラグナには、チョい悪ラーフが同居
先ずジョージのホロスコープにおいてラグナ(アセンダント)は、プナルヴァス。プナルヴァスと言えばラーマ神の誕生時の月が位置したナクシャトラ。プナルヴァスのガナ(種族)は神である通り、ジョージ・マイケルのイメージはレザージャケットなど着たロックスターを演じてもどこか神々しい、正統派な品格が感じられます。
しかしその4度近くには、ラーフが同じプナルヴァスにいます。数多く存在する他の男性アーティストと一線を画し、ソロとして成功するにはアクの強さやカリスマ性も必要です。
ジョージ・マイケルのアセンダントのラーフは「欲望を追求する現世的なエッジの効いたイメージ」を与え、彼はバブル経済で物質主義もピークに達していた80年代の波に乗り大成功を掴みます。
興味深いことに、ジョージ・マイケルのソロ第1弾アルバムのタイトルは、Faith。フェイスには、信頼、自信と共に、キリスト教の「信仰」という意味があります。アルバム・ジャケットの彼の左耳にはゴールドのクロス~十字架が意味深に光っています。つまりFaith はプナルヴァスの要素が反映された保守的なタイトルである一方、「堅苦しい教義は受け入れない」、「自分の信じる道を生きる」というラーフのアウトローな性質が見え隠れしているのです。実際ファーストアルバム には、大ヒットシングル「I Want Your Sex」が入っており、欲望をストレートに表現するラグナのラーフの影響が色濃く出ているのです。さらにラーフが位置するのはプナルヴァスのパダ3。プナルヴァスのパダ3は、ヴァルゴッタマといいそこにいる惑星の力に安定と勢いを与えます。ジョージ・マイケルのクンダリ(誕生チャート)においてラーフは、彼をメガスターに押し上げる大きな役割を果たしたのです。
当時ジョージ・マイケルは20年の金星期の後半で、その金星はと言えば人気と華やかさを与えるローヒニに位置しています。金星の支配神シュクラチャルヤは、ラーフを含むラクシャサ(デーモン)にアドバイスを与えるグル。金星期とジョージのラーフとの親和性は抜群だったのです。
爆発的でアウトローなアルドラの太陽
George Michael のファーストアルバムFaithは瞬く間に2千500万枚のセールスを記録しました。
この頃のジョージ・マイケルはマイケル・ジャクソンと人気を争うほどの勢いで、ロック界のキング的なポジションを掴んでいました。ステージでの存在感とリーダーシップは1ハウスのアルドラに輝く惑星会のキング「太陽」の恩恵と言えましょう。ただしこちらも単なる正統派の太陽ではありません。
何故ならヒッピーのような風貌とアウトローな性格で知られるルドラ神支配のアルドラに位置する太陽は、周りの理解を得られず孤立してしまう傾向もあるからです。
ジョージ・マイケルはファーストアルバムの成功により1989年度のミュージックアワードを総なめし、最高峰のグラミーのアルバムオブザイヤーまで授賞してしまいます。Whamでデビューする前のジョージ・マイケルは当時を振り返り、「車や豪邸をいくつも買えるほどの財産を得ようとかそんなことは全く考えていなかった。自信がなかったからみんなに認めらたかった。ただ有名になってみたかった。」と語っています。
しかし大人に成長するとこの爆発的な成功と名声は、もともとプライベート重視の一匹狼ジョージ・マイケルを苦しめることになります。
アウトカーストで悪魔的なアシュレーシャの月
時代を代表する音楽界の英雄、そしてメガスターになったジョージ・マイケルは、手にした成功と名声に居心地の悪さと違和感を覚えていました。
彼の2ハウスにあたるアシュレーシャ・ナクシャトラの月はシャイで繊細、秘密主義でプライベートなジョージの性格をあらわしています。またアシュレーシャの人はブラックジョークが好きで毒舌なところもあります。ジョージ・マイケルも例外でなく、Whamでデビューしたての頃はレポーターやジャーナリストをからかったりしたそうです。彼の場合、月がムーラトリコナの木星のアスペクトを受けているため、楽観的でひょうきんなところもあるのでしょう。
アシュレーシャは水星支配のナクシャトラであり、コミュニケーション力、執筆能力を与え、ネイティブは自己表現やマーケティング能力、さらには戦略的に利益を追求することに長けています。
アシュレーシャのガナ(種族)はラクシャサ(悪魔)であり、階級はアウトカーストです。その影響でアシュレーシャの人は子供の頃から学校や組織の中で、孤立感や疎外感を覚えることが多く、たとえ上手く社会に馴染んだとしても、心の中ではよそ者意識を拭いきれない傾向にあります。
まして当時のジョージ・マイケルはゲイであることをカミングアウトしておらず、スポットライトに当たりちやほやされても自分はそこにいるべき人ではない、「違和感」しか感じられなかったと後のインタビューでも明かしています。
ジョージ・マイケルは、アーティストとしての自己表現を存分に追及し、ステージで魅せるパフォーマンスも表現者として大いに楽しんだことでしょう。ただし彼はマスコミに四六時中追われるスターダムが欲しかったわけではなかったのです。家に居ることが好きな蟹座の領域にあるアシュレーシャのジョージは、自宅のスタジオで創作活動をしているほうが性に合っていたのでしょう。
アシュレーシャは、大の動物好きが多いことでも知られています。ジョージ・マイケルも例外でなく、犬を中心にペットを子供のように溺愛していたと言われています。アシュレーシャのシンボルは、トグロを撒いた蛇。アシュレーシャの人は心優しく、愛する家族やパートナーに惜しみなく愛情を与えるのです。母親との絆も深かったジョージは、プライベートを犠牲にしてまで世界をまたにかけるスーパースターダムに興味は無かったということが彼のホロスコープからも分かります。
アシュレーシャはティクシャという鋭角、冷酷かつ残忍な特性を持っており、場合によってキツイ性格や物言いが強く全面に出ているアシュレーシャの人も少なくありません。多かれ少なかれ誕生時の月やアセンダントがアシュレーシャにいる人は芯が強く自己主張もでき、挑戦的ところがあります。ただ蛇と同じく攻撃されなければ普段は清らかでおとなしく見えるのもアシュレーシャの人の特徴。ジョージ・マイケルもインタビュー映像など観る限り物腰も柔らかく穏やかです。ただし彼の逆鱗に触れたら、まったく違う激しい一面を見ることになります。厳しい芸能界を飄々と生き延びた一因には、アシュレーシャのしたたかさがあったことは間違いありません。(著者もホロスコープでアシュレーシャにアセンダントとケートゥを持っていますので、よく理解できます。)
1ハウスで対立する太陽とラーフ
ジョーティッシュを学ぶ人なら太陽とラーフが敵同士であることはお馴染みの事実です。
ラーフはチャーヤグラハ(影の惑星)と呼ばれ、ケートゥとともに日食と月食の原因となり太陽と月を脅かす存在です。
度数的に18度離れているとはいえ、ジョージ・マイケルの1ハウスでは太陽とラーフのコンジャンクションが起こっています。さらにその太陽は破壊的なアルドラ・ナクシャトラにいることから、権力者、権威と衝突する可能性が考えられます。
ジョージは'93年、レコード会社ソニーとの関係を長年「奴隷状態」だと訴え、契約の破棄を求め訴訟を起こします。彼は泥沼化した裁判にやがて敗訴し、'95年にヴァージン・ドリームワークスに移籍しています。
また人気絶頂の1998年と2006年には公衆わいせつ罪で逮捕されます。更に同じく2006年にはドラッグ所持、2010年には飲酒運転でも逮捕されるなど法的トラブルは続いてしまいました。また1ハウスの凶惑星ラーフや、8ハウス土星のアスペクトを受ける月の影響もあり、53歳で若くして亡くなるまっでドラッグの依存症が続いていたと言われてます。これも1ハウスのラーフのネガティブな影響が顕著に表れた例です。
皮肉なことにヴァルゴッタマで強まったラーフは、現世的な大成功とカリスマ性と同時に依存症という影を彼の人生に落としたのでした。
興味深いのは対立したレコード会社ソニーとは後に和解し再契約に至ったと報道されています。また訴訟でキャリアがストップしても度重なるスキャンダルをもろともせず何度も「復活」する運の強さは、「何度転んでも人を立ち上がらせ息の長いキャリアを与える」プナルヴァス・ナクシャトラの恩寵が現れています。
ホロスコープ・チャート分析でも明らかな哀愁漂う甘い歌声
ジョージ・マイケルの100万ドル・ヴォイスは、やはり声を支配する2ハウスの支配惑星「月」がスワディスターナ(自室)におり、10ハウスのシュバグラハ(吉惑星)木星のアスペクトを受けていることが大きいでしょう。そこに土星のアスペクトも重なり憂いのあるソウルフル・ヴォイスが生まれたのです。
月の支配神ソーマは27人の妻を魅了した高貴でハンサムなデーヴァとして知られています。*27星群ナクシャトラはソーマの27人の妻にたとえられます。世界の人々を虜にしたスムーズな歌声は、2ハウスの優美で気高き月から来ているのです。
また月が居るアシュレーシャはナーガ神(蛇の神)支配のセクシャルなナクシャトラでもあります。ジョージ・マイケルのセンシュアルな表現力はまさにアシュレーシャのエッセンスが巧みに活かされていると言えるでしょう。
George Michaelのインド占星術ジョーティッシュ ホロスコープチャート分析。
いかがでしたでしょうか。
2016に53歳の若さでこの世を去ったジョージ・マイケルですが、完成度の高い彼の音楽は世界中何百万人のファンに今も愛され続けています。
以下、アルバムから個人的に好きな曲のリンクをいくつか貼っておきます。
Jesus to a Child
Amazing
Older
True Faith
続いてPrince Harry プリンス・ハリー編の記事を読んでいただける方は下のボタンをクリックしてGO!
もっとナクシャトラについて知りたい方、ホロスコープチャート分析にナクシャトラを取り込むテクニックを学びたい方は、2024年4月21日からインド暦普及協会主催で
Mystical Light 主宰飯島淳之亮によるナクシャトラコースが開始します。お問い合わせください。
それまでにインド占星術ジョーティッシュのチャート分析をナクシャトラ視点で学びたいするヒントを学びたい方はこちらをどうぞ 👇
Mystical Light 著 まだ誰も知らない27星群ナクシャトラ
アマゾンご注文リンク
楽天ご注文リンク